| 研究課題/領域番号 |
24K02504
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下村 伊一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60346145)
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| 研究分担者 |
西澤 均 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20379259)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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| キーワード | アディポネクチン / Tカドヘリン / エクソソーム / 動脈硬化症 / 慢性臓器障害 / エンドサイトーシス / T-カドヘリン / 可溶性T-カドヘリン |
| 研究開始時の研究の概要 |
脂肪組織特異的内分泌因子・アディポネクチン(APN)のT-カドヘリン(T-cad)/エクソソーム(Exo)、可溶型T-cad(sT-cad)を介した臓器保護作用のメカニズムの全容は明らかではない。本研究では、各組織/細胞特異的T-cad欠損マウス、Exo生合成不全マウスを作出し、高血圧・動脈硬化、肝・腎線維化、サルコペニアなどの慢性臓器障害モデルや、敗血症・心不全などの急性期病態モデルを作製・解析することで、APN/T-cad/Exo/ sT-cad経路の臓器保護作用を解明し、それらを標的とした健康寿命延伸に向けた臨床応用開発を目指す
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| 研究実績の概要 |
【RQ 1,2】 アディポネクチン(APN)は組織のT-cadherin(T-cad)に結合し臓器保護作用を発揮する。各種細胞特異的T-cad欠損マウスを構築したところ、血管内皮特異的T-cad欠損において最も強い血中APN濃度の上昇を示し、血管内皮だけでなく、骨格筋や心筋細胞への高分子量体APNの集積が低下した。細胞実験では、精製18量体APNがT-cadを介してtranscytosisされることが確認され、特に血管内皮T-cadがAPNの血管外組織への輸送を担い、その生体内での挙動に強く影響することが示唆された。 【RQ 3】APNの細胞内移動経路としてリソソームへの移行を見出した。血管内皮細胞株におけるエンドサイトーシスおよびリソソーム分解を評価したところ、いずれもAPN添加により増加し、T-cadノックダウンでキャンセルされた。 【RQ 4】 間葉系幹細胞(MSCs)にもT-cadは高発現しており、MSCs特異的エクソソーム(Exo)産生阻害(MSC-ALIXKO)マウスを作製した。高脂肪食負荷では、KOマウスで体重増加率の低下、皮下脂肪細胞面積の低下を認め、糖負荷試験で耐糖能悪化、膵β細胞面積の低下を認めた。 【RQ 5】T-cadは血中に可溶型(sT-cad)としても存在する。健診受診者1175例の血中APN・sT-cad濃度を測定した。APN・sT-cad濃度をそれぞれの中央値で分けると、APN高値群でもsT-cad低値群では心血管リスクが有意に高かった。またsT-cadの生理活性を探るため、野生型マウスにsT-cadを過剰発現させ、圧負荷心不全モデルとして大動脈縮窄術(TAC)を施した。sT-cad群では有意に心重量増加が抑制された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
【RQ 1】APNおよびExoの血中濃度を規定しているのは、どの組織/細胞のT-cadなのか?【RQ 2】どの組織/細胞のT-cadがAPNの多面的作用に関わっているのか?【RQ 3】侵襲病態急性期においてAPN/T-cad経路が臓器保護・予後改善に寄与し得るか?【RQ 4】ExoがこれらAPN/T-cadによる作用にどのように、どの程度関わっているのか?【RQ 5】APNと血中sT-cadとの関係、またsT-cadの生成機構と調節、その生理作用は?と5つのResearch question(RQ)それぞれに研究計画を立て進めている。それぞれに当該年度は当初の研究計画に沿った進捗があり、学会報告など発信もできている。論文については投稿準備中であるが2年目には複数投稿できる見込みである。
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| 今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記載した【RQ 1,2】、【RQ5】の内容については現在論文執筆中であり、R7中の公表を目指す。【RQ 3】我々は心筋梗塞や敗血症等の急性期における血中APN濃度低下と予後との関連を報告しており、R6年の検討により、APNがT-cadに結合し、アルブミン等細胞外液のエンドサイトーシス・リソソーム分解を促進することで細胞保護的に作用する可能性を考えている。また、【RQ 4】では、組織常在性MSCs由来Exoは、肥満・糖尿病状態における代償性膵β細胞増殖と血糖恒常性維持に重要な役割を果たしていることが示唆され、追加実験を複数計画しており、計画通りに進めばR7年度中に論文作成に必要なデータ概要がそろう見込みである。 現在研究準備を進め、今後実験データを取得していく研究としては、【RQ 1,2】「APN/T-cad経路を介した細胞内シグナル伝達機構」、各種細胞特異的CD63-Nluc発現マウス(Exo標識マウス)ができてきており、「血中Exoの量的質的変化とそのExo産生細胞腫の同定」【RQ5】「sT-cadの作用機序の解明・受容体の探索」を計画通り進めていく。また、APNの多面的作用の一つとしてAPNトランスジェニックマウスにおける寿命延長(Otabe et al.2007)という表現型が知られており、これがAPN/T-cad/Exo経路に規定されるかを明らかにする。すなわち【RQ 2】として、血中APN濃度や血中Exoに変化が見られた組織・細胞特異的T-cad欠損マウスを用いて、各種病態モデルを作製し、慢性臓器障害や個体老化への影響を検証する。
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