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ノイズ前庭電気刺激による新たな転倒予防法を確立するための包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24K02807
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59010:リハビリテーション科学関連
研究機関佐賀大学

研究代表者

光武 翼  佐賀大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00779712)

研究分担者 中薗 寿人  福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 准教授 (70814771)
塩崎 智之  奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (70812668)
園部 元康  高知工科大学, システム工学群, 教授 (50455169)
坂本 麻衣子  佐賀大学, 医学部, 教授 (10720196)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2027年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2026年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
キーワードノイズ前庭電気刺激 / 外側前庭脊髄路 / 身体制御反応 / 姿勢安定性 / 感覚戦略 / 前庭脊髄反射 / 前庭トレーニング / 一定周波数床振動
研究開始時の研究の概要

転倒を予防するためには、これまで運動を中心に様々な方法が行われてきた。しかし、運動は継続することが難しく、さらに、循環器疾患や代謝疾患患者では運動を制限されることがある。バランス能力には前庭覚が平衡機能の維持や転倒に直結しやすい応用動作時の対応に重要な役割を担う。
本研究では経皮的に知覚しない微弱なランダムノイズ波形の電流を前庭覚に通電するトレーニング法によって、身体への負担が少ない新たな転倒予防法の開発を目指す。

研究実績の概要

ノイズ前庭電気刺激(nGVS)は両側乳様突起上に微弱なホワイトノイズを印加することで姿勢安定性の向上が期待できる.しかし,姿勢安定性に直接関わる外側前庭脊髄路の興奮性にnGVSが影響するかどうか十分に解明されていない.2024年度は前庭直流電気刺激(GVS)後にヒラメ筋H反射を行う電気生理学的手法を応用して外側前庭脊髄路興奮性の変化を検証した英語論文を筆頭著者として2編執筆した.さらに,nGVSの効果的な刺激周波数の探索,前庭覚に比重が高い姿勢制御条件でのnGVS効果,一定周波数床振動装置を用いた姿勢制御反応を検証するためにデータ計測している.感覚戦略における比重の変化にも着目してライトタッチ研究,中枢前庭障害患者における姿勢制御反応の経時的変化を検証するための実験準備を行った.
電気生理学的研究ではnGVS直後のH反射による振幅の変動性を検証したが,nGVSを適応しても変化は認められなかった.一方,nGVSにバランスマット上での閉眼立位を保持する前庭バランストレーニングを併用することでH反射の振幅増大が認められ,姿勢安定性も向上した.本研究の結果からnGVSは前庭覚に焦点を当てたトレーニングと併用することで外側前庭脊髄路の興奮作用が認められることが示唆された.
外側前庭脊髄路は立位姿勢を制御するために興奮性を増大することが予測されるが,直接的な検証は行われていなかった.立位保持でのGVS後のヒラメ筋H反射を計測しながら身体制御反応を評価した結果,刺激後の前庭骨筋活動と中等度の相関関係が認められた.
これらの研究に関しては英語論文を執筆しており,すでに公開されている.

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では実験1~4で構成したノイズ前庭電気刺激(nGVS)の包括的研究を実践する.
実験1:nGVS後のヒラメ筋H反射による外側前庭脊髄路興奮性の解明,実験2:nGVSと前庭トレーニングの併用効果検証,実験3:一定周波数床振動装置を用いた転倒リスク評価法の確立,実験4:異なる刺激周波数nGVSによる姿勢安定効果の検証
上記実験の中で,実験1,2は概ね終了しており,英語論文が公開された.当初の予定では令和6年度に実験環境を整備してデータ計測を行う予定だったが,円滑に実験プロトコルを構築したことで論文を執筆できた.実験3に関して,一定周波数床振動装置を用いて脳卒中患者に対して姿勢制御反応を計測し,転倒リスクを高精度に予測できるか検証する準備を進めている.実験4ではnGVSの刺激周波数に着目して0~30Hz,0~100Hz,100~640Hzのホワイトノイズ波形を作成し,バランスマット上での閉眼立位時の身体動揺変化の計測を準備している.実験3および4ともに,すでに倫理審査委員会の承認を得ている.
これらの実験は研究分担者とオンラインおよび対面による研究会議を行うことで円滑に進めている.主に実験デザインは月に1~2回のオンラインミーティングを介して詳細に構築し,プロトコル確立は月1回程度の対面での研究ミーティングにて確認している.特に,研究分担者の中薗氏とは実験を進めるうえでも定期的に連絡している.実験4は研究実施環境を考慮して福岡国際医療福祉大学で実施している.
nGVSを含む前庭姿勢制御研究を包括的に実践し,全体を通じて滞りなく年度ごとの実験計画を前倒しで進めることができている.

今後の研究の推進方策

本研究で予定していた4つの実験は順調に進めることができており,更なるnGVSの包括的研究を実施する.
実験3と4は実験プロトコルを構築していく.2024年度には一部のデータを計測できており,今後も継続的に計測を進める予定である.さらに,nGVSの基盤となる前庭覚や感覚戦略研究も進める.nGVS研究を行う中で,効果検証を前庭覚優位な姿勢制御条件で評価項目に設定することが多い.この代表的な条件として,バランスマット上閉眼立位が行われているが,マットの詳細は規定されていない.マットの反発力が高いと平地に類似した床面となり,体性感覚が有意な姿勢制御条件となる可能性がある.本研究の派生として異なるマット上でのnGVS効果も検証するための準備を行っていく.
実験環境に関して佐賀大学だけではなく,研究分担施設である福岡国際医療福祉大学や奈良県立医科大学での研究も進めていく.福岡国際医療福祉大学には誘発筋電装置が設置されているため,経頭蓋電気刺激装置と組み合わせることで外側前庭脊髄路を評価できる環境にある.nGVS研究は奈良県立医科大学でも進めており,多角的な視点からnGVS効果を検証する.
福岡国際医療福祉大学の中薗氏とは,これまで月1回程度の頻度で研究ミーティングを行ってきた.2025年度は約2週間に1回の頻度で実験デザイン構築からデータ計測までを共同して行い,イレギュラーが生じた場合でも対処できる実験体制を築くことで効率的に研究を進める.これまで同様に実験を円滑に進めるための準備を怠らず研究を展開していく.

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Relationship Between Soleus H-Reflex Following Standing GVS and Postural Control Responses on Firm and Foam Surfaces: An Exploratory Study2025

    • 著者名/発表者名
      Mitsutake T, Taniguchi T, Nakazono H, Shiozaki T, Yoshizuka H, Sakamoto M
    • 雑誌名

      Brain Sciences

      巻: 15 号: 2 ページ: 115-115

    • DOI

      10.3390/brainsci15020115

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neural interference effects on lateral vestibulospinal tract excitability by noisy galvanic vestibular stimulation2024

    • 著者名/発表者名
      Mitsutake T, Nakazono H, Shiozaki T, Taniguchi T, Yoshizuka H, Sakamoto M
    • 雑誌名

      Clinical Neurophysiology

      巻: 168 ページ: 153-160

    • DOI

      10.1016/j.clinph.2024.11.002

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 経頭蓋ノイズ前庭電気刺激と前庭バランストレーニングの併用による外側前庭脊髄路の興奮性変化2025

    • 著者名/発表者名
      光武 翼,中薗 寿人,塩崎 智之,谷口 隆憲
    • 学会等名
      日本物理療法合同学術大会2025
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

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公開日: 2024-04-11   更新日: 2025-12-26  

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