研究課題
基盤研究(B)
中年期以降は,聴力検査では正常であるにもかかわらず,雑音などの競合音が存在する中では聴取が困難になることがある.聴覚末梢から皮質に至る求心性経路の各段階の機能の劣化が,中高年期の聴取能力低下の原因と考えられてきた.一方,求心性経路とは逆に聴覚皮質から聴覚末梢へと向かう遠心性神経系が発達しているのが,聴覚系の特徴である.注意や予期に基づいて遠心性経路が修飾し,末梢の入力を能動的に調整する機能を果たすことが,近年の研究で裏付けられつつある.本研究では,予期や注意に関わる神経活動を計測・制御する方法論を導入し,皮質から末梢に至る遠心性経路の機能の低下と中年期の難聴との関係の総合的理解を目的とする.