| 研究課題/領域番号 |
24K03143
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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| 研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
斉藤 和之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 主任研究員 (70419133)
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| 研究分担者 |
立澤 史郎 北海道大学, 文学研究院, 特任助教 (00360876)
平澤 悠 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (10794703)
澤田 結基 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (30419949)
木村 賢人 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (60596675)
岩花 剛 北海道大学, 北極域研究センター, 特任教授 (70431327)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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| キーワード | 再生利用エネルギー利用 / 自然冷熱エネルギー / 氷室・雪室・風穴・地下貯蔵庫 / 環境・伝統・文化保全 / 学際的・超学際的取り組み / 地域レジリエンス / 再生可能エネルギー利用 / 雪氷・凍土(自然冷熱エネルギー) / 地域環境保全 / 学際研究・超学際研究 |
| 研究開始時の研究の概要 |
地域環境に根ざした自然冷熱利用の営みは国内で千年以上の歴史を持ち、国内外に様々な目的・形態の施設が存在するが、その再エネ可能性に比して利用事例は減少している。 自然冷熱利用の的確な評価には自然科学的側面のみならず人文社会学的な側面からの調査・研究が重要である。本研究では冷却メカニズムの理解、自然冷熱利用の現状と課題、知見集約とアウトリーチという3つのテーマを立て、自然科学と人文社会科学を有機的に結び、異なる地域における雪室・氷室・風穴・地下貯蔵庫を対象に継続的なフィールドワークを実施することによりその実態と課題を掘り起こし、再生可能な自然冷熱エネルギー利用と地域環境保全の将来性を展望する。
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| 研究実績の概要 |
風穴は長野県小諸市氷地区にある「氷風穴」(テーマA-C),歴史的氷室は南予地方の氷室群(テーマB-C),また雪室や石蔵等について北陸・東北・北関東6県における17施設(テーマA-C),さらにより寒冷なモンゴルおよびシベリア域で使われるアイスシェルター及び地下貯蔵庫(テーマA-B)を調査対象として,地域特有の環境条件下で使われてきた自然冷熱利用施設の構造・メカニズムという物理・形態面(テーマA),伝統と利用の歴史的推移などの文化面および活用実態や継承状況とその課題などの運用面(テーマB)について調査を開始した. 環境観測(気温,湿度,光度,二酸化炭素,地温など)を行うサイトでは新規あるいは以前の機器を更新して設置した.氷風穴,南予氷室,北陸・東北・北関東の雪室・氷室,モンゴルの貯蔵庫については,所有者あるいは使用者との関係性を築き,使用目的・利用状況・自然および社会環境変化等に伴う課題などについてインタビュー調査を開始した.氷風穴においては90余年ぶりに蚕種(蚕の卵)の風穴保存(入穴という)復活の実証実験を開始した. また,実態がまだわかっていない風穴の冷却メカニズムのモデル化のために,断熱材やレンガなど使用して30cm x 50cm x 100 cm ほどの実験風穴システムを構築し,低温室(-5℃程度)と室温(20℃程度)環境を利用して実験・評価を開始した. 日本各地の風穴所有者・使用者や研究者らが定期的に情報や知見交換を行う風穴サミット(2024年度は8月に紀伊田辺で開催)において,今後の情報発信や交換のために当科研費課題を紹介した.日本を含む中・高緯度での自然冷熱利用施設の地域性を概観し,伝統的共同体における食のあり方をローカルかつグローバルな環境問題という視点から評価・比較するための枠組みとしてFood Life Historyを提唱する論文を掲載した.
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマAについては,雪室(石川県湯涌温泉,栃木県四代目徳次郎氷室はじめ計6県17施設.岩花,竹井),風穴(長野県氷風穴.斉藤,曽根,伴野),アイスシェルター(モンゴル.木村),地下貯蔵庫(モンゴル.斉藤.Jambaljav)が温度,湿度,光度,二酸化炭素濃度などの観測機器を設置し環境観測を開始した.また,地形効果が大きい風穴では地表面およびドローンにて測量を行い,また基本的な冷却メカニズムの把握および温度管理の可能性を調べるための風穴モデルを作成し低温室を利用して実験を行った.これらは計画通りに進捗している. テーマBについては,愛媛県南予地方の氷室(澤田.平澤)について文献調査およびそれに基づく氷室跡の現地踏査を実施し,四国全域で江戸時代から続く氷室文化のなかでも氷柱を収穫して氷室に供するのは同地方の独自的な特徴であること,また明治後期以降の氷室による蚕種貯蔵の歴史に3つのタイプ・段階の見られることを明らかにした.また,電気冷蔵庫保存に比して風穴保存で蚕種孵化率が向上することが他の風穴で見出されたがその評価・実態把握のために,昭和初期途絶えていた氷風穴で90余年ぶりに入穴を行い,温度・湿度などの物理環境観測を開始した.これらは計画通りの進捗である. テーマCについては,初年度でありまだ当課題における知見の集約には至っていないが,上記の各調査サイトにおいて現地関係者とアウトリーチのための情報収集や関係性構築を各担当者が行った.また,天然冷熱施設の機能・役割や意義を広く伝えるアウトリーチの一環として,氷風穴で行われた一般講演会において「日本の風穴」(清水)および「養蚕のある暮らし」(伴野)について講演するとともに,第10回風穴サミットin紀伊田辺において当課題研究の背景や目的,調査内容について報告した.
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| 今後の研究の推進方策 |
氷風穴では環境調査(テーマA)を継続するとともに,知見集約や地域との連携といったアウトリーチ(テーマC)の第一弾として,2025年度に小学生以上を対象とした参加・体験型の説明・講演会をすでに同種の活動の経験を有する同保存会と協力して行う.南予氷室については,昭和初期まで使われていた現存氷庫について,当時の図面を基に所有者,ジオパーク関係者および教育委員会など現地関係者らと協力して一部の発掘調査を行い,利用当時の使用状況や形態を評価し(テーマB),市民らへのアウトリーチ活動を開始する(テーマC).モンゴルのアイスシェルターや実験風穴などの人工的環境に対しては環境観測結果を基にした数値モデル化・シミュレーションを行い,冷却効率を高めるために必要・最適な配置や構造また運用方法について検討する.これらは北陸・東北・北関東の雪室・氷室を含めて環境観測結果をまとめ,「冷却メカニズムの理解」に必要な基礎データとして統合的に知見化する(テーマA).また各施設の構造や運用方法などについて統一的な視点からの整理分類を行い,それら形態・運用面や外部環境変化が使用上の課題へ与える影響や対処法について整理していく(テーマC).これら知見は学術論文として発表するとともに,写真資料・3Dモデル・シミュレーション結果などとともに広く公開する手立てを講じる. 一方,永久凍土環境を利用したシベリアの地下貯蔵庫は,食料のみならず夏季に高品質で衛生的な飲料水を確保する手段という特異性また沿岸域・内陸域などの大きな地域性を有するなど当課題にとり重要な対象であり,2020年から現地協力者と連絡を取り初期調査を開始していた.しかしながら,ロシア渡航での現地調査はもとより現地協力者への研究資金送付も実質不可能である現状は,研究遂行上の大きな課題である.
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