| 研究課題/領域番号 |
24K03164
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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| 研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 広祐 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (30283659)
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| 研究分担者 |
高野 さやか 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20586656)
藤原 敬大 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20637839)
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80410851)
笹岡 正俊 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80470110)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2027年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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| キーワード | 土地所有権 / 慣習法 / インドネシア / 政府指定の森林地域 / ランドグラビング / 慣習法共同体 / 汎実定法主義 / 法的多元主義 |
| 研究開始時の研究の概要 |
今日のインドネシアにおいて国土の65%を占める政府指定の森林地域には5000万人の住民が住み、多くは必要な政府許可を得ていない。1960年土地基本法は、土地権は慣習法に基づくと規定している。また、多くの土地は未登記で住民は土地証書を持たない。本研究は、①慣習法に基づく土地権の実態とは何か。②土地権の不確定状況がうまれた経緯を、国有地(植民地期)と国家管理地(独立後)との関係史から明らかにする③スハルト大統領退陣・改革後の諸政策のこれら問題への影響を明らかにする。住民の土地権が不確定であるという喫緊の問題を分析し「慣習法に基づく土地法制度は可能か」と問い、インドネシア慣習法研究に革新をもたらす。
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| 研究実績の概要 |
本年度は、インドネシア各地における慣習法の在り方について研究すると同時に、歴史的な経緯について文献収集および資料調査を実施した。水野は、リアウ州のパダン島における林業プランテーション造林にともなるランドグラビングに関するフィールド調査を実施し、国家法の下で慣習法がいかに無視されているか、一方、住民はこれに激しく抵抗している様をみた。調査結果は、国外国内の国際研究集会で報告した。また慣習法と国家法の関係に関する歴史的研究を、慣習法論争などを中心に検討した。島田は、8月にインドネシア・ガジャマダ大学(中ジャワ州)、ブラウィジャヤ大学(東ジャワ州)を訪問し、慣習法・伝統的共同体を専門とする研究者に本研究課題の趣旨を説明し、研究への協力依頼を行った。また、3月にオランダ・ライデン大学において植民地期の慣習法・土地法に関する資料を収集し、同大学でインドネシアの法と社会について研究を行う研究者たちに対して研究報告を行った。高野は、北スマトラ州メダン市におけるフィールド調査を実施し、北スマトラ大学法学部との協力関係のもと、土地の権利をめぐる紛争の概況、主に登記をめぐる不確定性について聞き取りを行った。あわせて現在議論が進んでいる慣習法共同体に関する法律の草案についての文献調査を行った。またその成果の一部を国際学会で報告した。藤原は、インドネシアの土地権に関連する法律や大臣令を収集し、森林に関する土地権について整理を行った。またSan Afri Awang教授(ガジャマダ大学森林学部)へインタビューを行い、インドネシアの森林をめぐる近代的な土地権と慣習的な土地権について体系化を行った。またこれらの結果を林業経済学会2024秋季大会などで発表した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度参加者全員が慣習法に関わるフィールド調査を行い、またオランダのレイデン大学などでインドネシアの慣習法および慣習法研究に関する文献調査を行った。また、全員が国内外の研究集会や学会で研究報告した。水野は、リアウ州パダン島ランドグラビングに関する研究から、インドネシアにおける法的多元主義的な現実と、慣習法が著しくおとしめられている姿を、同島における移民史や土地所有史を含む詳細なフィールドワークによって明らかにした。すなわち、植民地期以来、国家法優位・慣習法従属あるいは無視の歴史がある。1960年土地基本法は、「インドネシアの土地法は慣習法に基づく」と規定されたので、慣習法が尊重されるのはと期待された。国家ほほうが特に必要になるあるいは強調される政府プロジェクトや事業権を得た企業が活動するなどの状況がなければ慣習法はそれなりに尊重されるが、これは特に政府に対して対抗できない。また、このような慣習法がおとしめられる姿は極めて歴史的な産物であることを検討した。島田は、ジャワ島では土地登記はかなり進んでいるが、特に都市部から離れると(例えば、中ジャワ州プルウォルジョなど)、公式な登記と伝統的な土地使用権の方式が共存しているとの教示を受けた。藤原は、藤原 関連する法律や大臣令の収集、キーインフォーマントインタビューを通じて、インドネシアの森林をめぐる土地権について主に制度面から分析を行った。その結果、国家法や慣習法に加えて、ジョグジャカルタ特別州ではスルタンによる森林があるなど国有地、住民の土地、王族の土地など複雑な土地体系を有していることが明らかになった。またそれらの土地権に対する権原や根拠には様々な出自があることも分かった。
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| 今後の研究の推進方策 |
水野は、リアウ州パダン島におけるランドグラビングの調査結果を国際ジャーナルで公刊する。また国家法と慣習法に関する歴史的な研究を、1870年前後や慣習法論争、さらに1960年土地基本法成立後についてフォローする。これらから住民土地権の確立について研究する。さらに各地の慣習的土地権研究を統括する。これらかた1960年土地基本法で言う「慣習法の基づく土地制度」の確立は可能かを検討する。また、1960年土地基本法の上記規定や、同法が慣習法共同体の土地権Hak Ulayat) を認めていながらその適用は極めて限定的である姿は、植民地期の慣習法論争において' sJacobらユトレヒト学派の主張と酷似しているなど、植民地のオランダにおける慣習法論争が1960年土地基本法や今日の土地行政に与えている影響をできるだけ実証的に明らかにする。島田は2025年度は、文献資料を読み解き、特にオランダ植民地期の土地法政策と、現在の慣習法の状況についての比較を整理していきたい。そのために、インドネシアを訪問し、実際の状況についても専門家の支援を得て観察したいと考えている。また、12月にインドネシア・ガジャマダ大学で開催されるアジア法社会学会年次総会で、これまでの研究の進捗を報告する予定である。高野は、8月にインドネシアに渡航し、主としてメダン地域において看守首長は慣習共同体に関する現地調査の予定である、藤原は、インドネシアから調査許可をしてフィールドワークを行い、森林をめぐる土地権の制度と齟齬について明らかにする。ジャワ島で林業公社(プルフタニ)の社会林業や林業省の「特別目的国有林(KHDPK)」について調査を行い土地権の変容について明らかにする。これらの調査結果を国内外の学会や国際ジャーナルで発表する。 、
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