研究課題
基盤研究(B)
本研究は、無形文化遺産の国際認証化やSDGsに向けた取り組みが主流化しつつある中東北アフリカ地域で、国家に周縁化された集団や個人による遺産形成(heritage-making)を、人々の移動に着目しつつ明らかにするものである。移動の視点は、人々が持つ複数の属性を浮かび上がらせ、主流の歴史・政治に孕まれる固定的な視点を相対化する。また国家だけを主体とした遺産形成論の本質主義的性質を暴く。本研究では、国家によって遺産形成の議論から構造的に排除されてきた、在外移民コミュニティと、グローバル・コミュニティを対象に、今日の中東・北アフリカの遺産形成の実相を追う。