| 研究課題/領域番号 |
24K03359
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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| 研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
細川 雄一郎 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (60853190)
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| 研究分担者 |
大西 琢朗 京都大学, 文学研究科, 特定准教授 (50773529)
吉満 昭宏 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (10585227)
島村 修平 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (90801655)
村井 忠康 沖縄国際大学, 法学部, 准教授 (90599325)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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| キーワード | AI / 規範的推論主体 / 形式論理 / 非形式論理 / プラグマティズム / 推論主義 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は、推論主体の研究としての現代論理学の立場から、推論主体としての人間の活動を整理して明示化し、理論的な精緻化を加えた上で、私たち人間、そしてこれから現れうる人工的な主体が体現すべき、よりよい推論主体のあり方を提案する。これが「提案」であるのは、本研究が、推論の妥当性の規準を経験的に記述するのではなくむしろ規定する「規範的な学」としての論理学的な試みだからである。
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| 研究実績の概要 |
本研究の中心課題は、AIが規範的推論主体になりうるために必要な手続きとして、 私たちが日常的に実践する重要な非形式論理を析出し、それをAIにも実現可能な仕方で論理学的に精緻化し形式化すること、つまり、一言でいえば「非形式論理の形式論理学的精緻化」である。 そこで、本研究の実施初年度である令和6年度は、いかなる非形式論理が析出されるにせよ、そこで本質的に働くはずの、従来の伝統的形式論理学ではその取り扱いが不十分であった、三つの重要な論理学的概念について、技術的な精緻化と形式化を行なった。その三つの重要な論理学的概念とは、「時相」「否定」「関連性」である。このうち、「時相」については細川が、「否定」については大西が、「関連性」については島村が、大西が主催した国際ワークショップ “A Kyoto-Taipei Workshop on Logic of Agent” でその技術的研究成果を発表した。 さらに、これら三つの論理学的概念が本質的に働くであろう、私たちが日常的に実践する重要な非形式論理が析出される範例的な場(いわば非形式論理の歴史的鉱脈)として、吉満がA. R. ジョンセンとS. トゥールミンによって復興された「決疑論(casuistry)」を、村井がブランダムとマクダウェルによって再解釈された「カント的判断論」を取り上げ、それぞれこれらの論理学的形式化に向けた概念的掘り下げを行なった。このうち前者の「決疑論」に関する研究成果については、すでに吉満・大城 (2025) に論文として公表されている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形式論理面で大西・島村により「否定」「関連性」に関する技術的研究が大幅に進展したことと、非形式論理面で吉満・村井により大西・島村の成果を活かせる範例的な非形式的推論の場が発掘されたこと。特に吉満が発掘した「決疑論」のジョンセンとトゥールミンによる現代的復興 (Jonsen & Toulmin, 1988) では、現在でも議論学における代表的な論証モデルとされる「トゥールミン図式」 (Toulmin, 1958) が批判的発展的に改良を施されたバージョンが浮かび上がっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
Toulmin (1958) におけるトゥールミン図式を「前期トゥールミン図式」、 Jonsen & Toulmin (1988) におけるトゥールミン図式を「後期トゥールミン図式」ないし「決疑論的トゥールミン図式」と呼ぶことにする。後期トゥールミン図式は、「データ」「推論保証」「主張/結論」「蓋然性限定子」「反駁」といった前期トゥールミン図式の基本要素をそのまま保存している。このうち、「データ」と「主張/結論」の橋渡しとなる「推論保証」(これは形式論理ではおおよそ「推論規則」にあたる)については、島村の「関連性」概念の研究成果が、「反駁」については、大西の「否定」概念の研究成果が、「蓋然性限定子」については、細川 (2019) による蓋然性演算子とHosokawa (2023; 2024a; 2024b) による時相演算子を組み合わせたものが、「主張/結論」については、村井の「カント的判断論」に関する研究成果が、それぞれ活かせる見通しである。一方、後期トゥールミン図式において前期トゥールミン図式が批判的発展的に改良を施された点とは、「推論保証」の「裏付け」が、「基礎付け的(foundational)」なものから、ジョンセンとトゥールミンの1974年から1978年にかけての「生物医学・行動科学研究協力被験者保護のための国家委員会」での実務経験を経て、まさしく語の正統な意味における「プラグマティック(pragmatic)」なものへと進展を遂げている、ということである。この「プラグマティックな裏付け」については、引き続き吉満の「決疑論」に関する研究成果と、村井・島村によるプラグマティズム研究が活かされる見通しである。こうして、今後の研究では、後期決疑論的トゥールミン図式が、各研究分担者のプラットフォームとして機能する見通しである。
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