研究課題
基盤研究(C)
今日、多極化が進む不透明な時代状況の中で、近代ヨーロッパに由来する啓蒙思想の遺産が問い直されている。本研究の目的は、18世紀ドイツで活躍したユダヤ人の哲学者モーゼス・メンデルスゾーンを具体例として取り上げることで、啓蒙期の宗教思想における道徳の進歩をめぐる議論を分析するところにある。メンデルスゾーンは、同時代人のカントとは対照的に、人類の道徳的進歩に関して懐疑的な見解を抱いていた。本研究では、メンデルスゾーンが、このような見解を抱くことになった理由を解明し、道徳の進歩をめぐる啓蒙期の議論の現代的意義を明らかにする。研究成果については内外の学会で発表し、ドイツでシンポジウムを開催する。