20世紀米国のマンガ家ウィンザー・マッケイのマンガの美学的特徴を記述する。本研究は、マッケイのマンガが物語メディアとしてどのような特質を持ち、それは同時代の他のマンガとどう異なるのか、登場人物の運動性や背景描写の変化といった点に注目して説明する。また本研究は、物語論が絵/コマの連続・並置によって物語を語るマンガというメディアにいかに応用可能かという点を理論的に考察することも目的とする。マンガ史におけるマッケイの表現の革新性は何か、およびマンガの物語論をどのように構想することができるのか、という二つの問いに対し、マッケイのマンガの精緻な記述、および先行研究の批判的検討によって本研究を遂行する。
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