プラトンに大きく依拠するプロティノスの思想において、身体と魂の関係についての議論展開の中では、アイステーシス(感覚)が表象機能を経て自覚や判断に連動する魂の働きとされ、それに対して、諸情念は魂とは厳密に区別された身体において生じるものとされている。本研究では、身体で起きる情念が、どのように魂における感覚により捉えられて知的機能に受け継がれるのかという問題をめぐって、プロティノスにおける感覚の表象機能の位置付けを試み、さらに、身体における情念の働きの領域が魂自体の働きとは別にどのように確保されているのかを明らかにする。
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