研究課題
基盤研究(C)
多くの近代彫刻、特にモニュメントは、人種や階級、身体をめぐる諸観念をあらわしてきたが、それらは単なる表示手段ではなく、むしろその生産受容こそが諸観念を産み、強化してきた側面がある。つまり、彫刻それ自体、ひとつの生-権力の装置として、生、人体に介入してきたのではないか。この観点/仮説から、本研究は表面の色彩、隷属の主題、そしてトルソ・断片に注目する。これらは従来の彫刻史では、それぞれ古典主義、ロマン主義、モダニズムの問題圏に分割されがちだったが、実際にはあい重なり、人種・階級・身体をめぐる生政治的なイメージと言説空間をつくりあげてきたのではないか。その可能性について、各国の事例に即して検討する。