本研究では、欧米基準のアートやアーツマネジメントを批判的に考察し、タイにおけるコミュニティアートの代表例であるバンコクのナンロン地区(スラム)での実践を、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(以下、SEA)の視点から考察する。 具体的には、アートコーディネーターが常に多くのプロジェクトを抱え、実践の継続化のみに注力している現状や、アーティストやコーディネーターと地域住民の間に存在している不均衡な権力関係に焦点を当て、公平性のある関係性の構築に向けた方策の検討と、プロジェクトのアーカイブ化による持続可能な実践の確保、文化・慣習を尊重したタイ独自のアーツマネジメント手法の提案を目指す。
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