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タイにおける実効性のあるアーツマネジメント手法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 24K03585
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01070:芸術実践論関連
研究機関大阪公立大学

研究代表者

信藤 博之  大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 客員研究員 (40736964)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワードソーシャリー・エンゲイジド・アート / コミュニティアート / Co-Design / アーツマネジメント / 参与型デザイン / ソーシャルインクルージョン / アートマネジメント / 社会的包摂 / コミュニティ再構築 / 持続可能な社会構築
研究開始時の研究の概要

本研究では、欧米基準のアートやアーツマネジメントを批判的に考察し、タイにおけるコミュニティアートの代表例であるバンコクのナンロン地区(スラム)での実践を、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(以下、SEA)の視点から考察する。
具体的には、アートコーディネーターが常に多くのプロジェクトを抱え、実践の継続化のみに注力している現状や、アーティストやコーディネーターと地域住民の間に存在している不均衡な権力関係に焦点を当て、公平性のある関係性の構築に向けた方策の検討と、プロジェクトのアーカイブ化による持続可能な実践の確保、文化・慣習を尊重したタイ独自のアーツマネジメント手法の提案を目指す。

研究実績の概要

本報告は、2024年度に実施された研究活動に基づくものである。欧米のアートおよびアーツマネジメントにおける理論的枠組みを批判的に捉え直すことを主眼に、タイ・バンコクにおける代表的なコミュニティアート実践のひとつであるナンロン地区(スラム)を対象に、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)の視座から調査・考察を行った。本研究のフィールドワークは、代表者単独ではなく、Co-Designを専門とするタイ人研究者2名との協働により実施された。調査は、対象地域の住民や関係者を巻き込みながら進められ、実践的かつ参与的な視点からアートとデザインの交差領域を探るものとなった。SEAの観点に加えてCo-Designの手法を取り入れることで、アーツマネジメントの再考察にとどまらず、実践に基づく応用的な展開の可能性も示唆された。Co-Designとコミュニティアートはいずれも、共創を重視し、関係性を基盤に構築される点において多くの共通項を持つが、本研究では両者の異なる論理やアプローチを丁寧に対比した上で、SEAの視点を重ねることで、タイにおける新たなコミュニティアートの概念的枠組みを提起するに至った。これは、理論と実践を往還する姿勢を通じて、本研究に深みと射程の広がりをもたらす成果となった。こうした成果の一端は、2025年3月4日にチュラロンコン大学(タイ)にて開催された The 22nd Urban Culture Research Forum “Urban Voices” にて発表した。同フォーラムには、代表者と上述の現地研究者2名が登壇し、ナンロン地区における事例をもとに、コミュニティアートとデザインが交錯する領域に関する議論を行った。現在は、本研究成果を発展させた論考を、2025年発刊予定の国際ジャーナルへの掲載に向けて執筆中である。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、タイ・バンコクのナンロン地区において、欧米中心のアートおよびアーツマネジメントの理論的枠組みを批判的に見直し、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)の視座から実践的な調査を行うことを目的としていた。あわせて、地域住民との共創を通じて、新たな理論枠組みの構築を目指していた。実際の調査においては、現地研究者との共同実践を通じて、Co-Designの手法を導入する可能性が開かれたことは、当初の計画を深化させる重要な展開であった。これは、現地研究者との継続的なディスカッションの成果であり、タイにおけるアーツマネジメントの地域的特性をより明確に浮かび上がらせる契機となった。また、国際フォーラム等を通じて、タイ、日本、欧米の研究者・実務家との連携を深め、今後の共同研究に向けた基盤を築くことができた。フィールドワークでは、住民や関係者とのワークショップや参与的対話を重ねることで、地域文脈に即したコミュニティアートの実践記録を蓄積することができた。特に、SEAとCo-Designのアプローチを交差させることで、理論的考察のみならず、実践的な応用可能性についても一定の成果を得ている。さらに、2025年3月にはチュラロンコン大学にて国際学会発表を行い、タイ、日本、欧米の研究者・実務家との意見交換を通じて、学術・実践の両面でのネットワークを強化する成果となった。現在は、これらの成果を踏まえ、2025年8月発刊予定の国際ジャーナルへの掲載に向けた論文執筆を進めており、理論的整理と成果の集約を継続している。以上より、本研究は当初の計画に沿って着実に進展しており、一部においては当初想定を上回る成果が得られていると判断できる。

今後の研究の推進方策

2024年度に実施したナンロン地区でのフィールドワークでは、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)に加えて、現地研究者との協働を通じてCo-Designの視点を取り入れることができた。これは、当初の想定を超える学術的な発展であり、タイにおけるアーツマネジメントの特性を考察するうえで有効なアプローチとなった。2025年度以降は、引き続きナンロン地区での観察・調査を継続するとともに、新たに2地域(バンコク都内の都市再開発が進む地区、および中部地方の地域コミュニティ)を対象に加え、それぞれの文脈で行われているアート実践の現状把握と比較検討を進める予定である。これにより、タイ国内における社会包摂型アート実践の地理的・制度的多様性を明らかにすることを目指す。また、現地研究者や実践者との小規模な協議の場を、可能な範囲で対面またはオンラインにて設定し、現地の受け止めや実践とのズレについて意見交換を行う予定である。こうした実践者の声を丁寧に拾いながら、今後の理論整理に活かしていきたい。研究成果については、まずは現在執筆中の国際ジャーナル論文の完成を優先し、その後は簡易な報告書や記事としての公開も検討している。中長期的には、地域ごとの記録を蓄積するオンラインアーカイブの構築を小規模に開始し、無理のない範囲で研究と実践を結びつける場を育てていく予定である。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2025 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Rajamangala University of Technology(タイ)

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Begum Rokeya University, Rangpur(バングラデシュ)

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] Design with Community: Exploring Possibilities for Nang Loeng Through Co-design Approach2025

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Nobuto, Mathurada Bejrananda, Veerapong Klangpremjit
    • 学会等名
      The 22nd Urban Culture Research Forum Urban Voices March 4-5, 2025 Chulalongkorn University and Osaka Metropolitan University.
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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