研究課題
基盤研究(C)
江戸時代前期には」、江戸時代中後期と同じように絵草子屋が存在した。17世紀半ばに制作された奈良絵本・絵巻には、業者自らの印記が存在し、「絵双紙屋」「小泉」と記されている。この小泉という絵草紙屋の印記は、現在十点ほど見つかっており、明らかに、仲介業者ではなく、奈良絵本・絵巻の制作を担った業者である。しかも、その作品を見ると、鬼や化け物が多く登場する作品が多いのである。高級な奈良絵本・絵巻を制作する業者は、いくつか存在していたと考えられるが、その存在や活動については、ほとんど不明である。そこで、この小泉という絵草紙屋の印記を有する作品を中心に、どのように日本の文学作品を絵草紙化したかを考察したい。