研究課題
基盤研究(C)
近世初頭、京都の嵯峨の地で「嵯峨本」と呼ばれる美装刊本が制作された。従来、制作者は本阿弥光悦とされてきたが、近年の研究では角倉素庵の主導と考えられるようになった。そこで本研究では、素庵がいかにして嵯峨本を生み出し、その書籍群を刊行しつづけたのかを、①素庵真蹟と嵯峨本活字との比較研究、②嵯峨本とキリシタン版国字本や同時代の平仮名古活字本との比較を通じた連続性・非連続性の解明、③嵯峨本と素庵および周辺人物による他の刊行書との関連の研究、④十分な調査の行われていない嵯峨本『撰集抄』等の活字調査、の四つに焦点を絞り、考究を行う。これらの研究を通じて、嵯峨本の誕生・展開の実像を明らかにする。