研究課題
基盤研究(C)
本研究はアジア・太平洋戦争後の日本で生じた“民話運動と民話ブーム”の東北地域での展開を明らかにするものである。冷戦期の文化運動に関する研究が進むなかで、1950年代に東京で発生した民話運動の解明も進んでいる。しかし、従来の研究では政治の時代に関心が集中し、1970年代以降に再興した運動については学問的探究の対象になってこなかった。本研究は、高度成長期に流行した“語りによる子育て”という思想に後押しされる形で民話運動に参加した〈母〉たちの活動を、「都市」と「地方」の交差性をふまえて明らかにするとともに、これまで価値を切り下げられてきた家庭内のケア労働者による文化運動の再評価を行うことを目指す。