巌谷小波は、作家・児童雑誌の編集者・口演童話家・評論家・俳人などとして活躍した文化知識人である。小説家として文壇デビューした小波は、児童文学の創作や昔話の再話、児童雑誌の編集を通して明治期を代表する児童文学作家としての地位を確立し、文学をはじめとした芸術についてはもちろんのこと、教育や子どもに関する見解を求められるようになり、評論家として発言する機会を多く得ている。小波の評論は、当時の文芸観や教育観、子ども観を知る上での一級の史料であるといえる。 そこで、本研究課題では、巌谷小波が活躍した明治期における小波の評論を収集・分析し、小波の多彩な評論活動の一端を明らかにすることとした。
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