①平安時代文学において「南国」植物の表象が、どのような作中での意味を持っているのかを検証した研究は現在見当たらない。 ②日本の平安時代の文学世界を取り巻く古代東アジアをめぐる仏教や古記録を中心とした知的ネットワークが果たす重要性を「南国」表象と結び付ける研究も存在しない。 ③有職故実や古代交通史の論点を「檳榔毛車」を起点として「南国」表象との関連で把握した研究もまだ存在していない。 ④台湾を含んだ古代のアジア太平洋地域の交流ネットワーク、いわゆる「オーストロネシアン拡散」説を台湾および日本との関係にまで拡張し、新たなアジア太平洋交流史の構想を為すべきであるというのが本研究の主たる主張の一つである。
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