本研究課題は、健康や身体の損傷に関する19世紀アメリカの社会言説を踏まえながら、アンテベラム期(南北戦争前)の作家の文学、トランスベラム(南北戦争をはさむ期間)に活動した作家の文学、ポストベラム期(南北戦争後)の作家の文学において男の傷がどのように表象されているかを研究するものである。そうすることで、近代アメリカの社会言説とジ ェンダー観の関係、および、その関係の文学への反映を明らかにしていく。「男らしさ」の標準から外れる存在の傷ついた男に注目することで、19世紀のアメリカ社会における「男らしさ」の変遷を示す。
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