研究課題
基盤研究(C)
本研究は米国のモダニズム文学が、資本主義経済による友愛(friendship)の侵食とそれに対する抵抗をどのように物語化したのかを検証する。血縁よりは地縁にもとづいて形成された民主主義国家アメリカの文学において、友愛は社会の重要な紐帯の一つとして古くから重要な主題だが、南北戦争後のアメリカの急速な産業資本化のなかで友愛の社会的役割や文学における表象は大きく変質した。ドゥルーズ=ガタリなどの理論に依拠しつつ、作品における「友愛のエコノミー」と呼ぶべき動的なプロセスを検証することで、資本主義経済の浸透による様々な社会文化領域の変容に対するモダニズム文学の応答を辿ることが、本研究の目的である。