本研究は「20世紀後半から21世紀初頭にかけての英国の多文化主義政策と、それに続くEU離脱をめぐる議論の中で、移民の文化的記憶継承はどのように変容し、また英国の側がその記憶をどう利用してきたか」という問題を、当事者である移民コミュニティでの調査だけでなく、文芸作品や政治的発言、パンフレットで描き出される言説にも着目して立体的に考察してゆく。 また本研究では移民船ウィンドラッシュ号をめぐる記念行事やこれを題材とするフィクション作品の表象を「想起の装置」としてとりあげて、現在のイギリス人たちが移民第一世代の記憶をどのように受け継いでいるかを検証する。
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