研究課題
基盤研究(C)
ソ連の演劇においても、常に俳優の演技術を重視する心理主義演劇と演出家の舞台構成を重視する様式演劇を統合する動きがあった。特に雪解け期にレニングラードで活躍した演出家ゲオルギー・トフストノーゴフ(1915‐1989)は、自らの出自であるジョージアの文化潮流の影響を受けつつ、アメリカのミュージカルなど外国文化の要素も取り入れ、心理主義的リアリズムに基盤を置きつつ、独自の音楽性の高い躍動的な身体性を特徴とする、やや様式性の高い劇を生み出したが、その演劇様式が従来の心理主義の理解とどのように異なるのか、を検討し、ソ連内外の演劇への影響についても考察する。