研究課題
基盤研究(C)
明治期日本における西洋からの影響は多岐にわたる。オリジナルと思われてきた文学作品でも、下敷きにした西洋の作品があったことが調査で明らかにされるケースがある。明治・大正期の邦訳グリム童話の場合にも、とりわけ挿絵に西洋からの影響が顕著にみられる。これまでの調査では、模倣された挿絵を収めた書物は、翻訳の底本として使われていることが多いことを実証してきた。現代的な児童文学の黎明期に西洋から受けた影響はそれだけにとどまらないことが想定される。本研究では、明治・大正期に多数刊行され広く愛読された児童文学作品の調査を通して、西洋の書物と挿絵からの影響を探る。