数量詞句は、実際の語順に影響を与えない抽象的なレベルで移動していると考えられており、数量詞繰り上げ(QR)と呼ばれている。これまで子どもの文法でもQRの存在を示す実験結果が数々報告されているが、一方で我々は子どもの文法のQRが大人の文法同様に厳密に振る舞う場合と、それが大人の文法より自由に振る舞う場合があることを示す新奇データを入手した。それをもとに、本研究では子どもの文法でのQRは“どこまで大人の文法同様に規制”されたものなのか?また数量詞句は“どれだけ自由に移動”することができるのか?そして大人の文法との乖離を引き起こす“統語的要因はどのようなもの”なのか?を明らかにする。
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