本研究では日本語の「見えざる節」がもたらす意味を研究する。例えば「ノニ」を用いて「雨が降ればいいのに」と発話すると、「実際は雨が降っていない・降る可能性が低い」ことを含意する。しかしこのような含意が生まれるしくみを解明したフォーマルな研究は未だ存在しない。 文末表現には豊富な先行研究の蓄積がある一方、大きな偏りが存在する。例えば「(立ち入り禁止の場所に)入ったらだめなのに」と発話すると「(誰かが立ち入り禁止の場所に)入った・入ろうとしている」という事実的な含意をもたらすが、先行研究が存在しない。 本研究では、日本語の文末表現には「見えざる節」が伴い、含意をもたらしているという主張を追求する。
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