研究課題
基盤研究(C)
本研究は、満洲事変後の対外膨張期の日本外交を英米協調的な「国際金融家」とアジア主義的な「帝国金融家」の相克から再検討する。1920年代からの経済的国際主義や自由貿易主義と1930年代~1950年代の貿易・為替管理の複雑な関係は、まだ必ずしも整理されていない。本研究は、世界恐慌・金本位制離脱・満洲事変が重なる国際秩序の変動期に日本の国際金融家が(英・中のカウンターパートとときに共振しつつ)いかなる再均衡を試み、太平洋戦争前夜にいかに挫折したかを、国内外の未公刊史料から説明する。さらにその作業を通じて、法律家(外交官)の外交や軍人の外交と異なる銀行家の外交の特徴(可能性と限界)を析出したい。