研究課題
基盤研究(C)
〈戦争〉という言葉によって想起されるのは何だろうか。その戦争像は、どのような人々の経験や記憶を投影し、また不可視化してきたか。本研究は、台湾の先住民が近代国家システムに巻き込まれる過程で直面してきた暴力の諸形態とその長期的な作用の解明をめざす。とくに、〈戦時〉と〈平時〉が不分離な植民地状況の経験に着目し、個々人の生の軌跡や世代間の記憶の(不)継承の様相を確かめる。これまでなきものとされてきた歴史経験や歴史資料の探求と共有化を通じて、脱植民地化/脱帝国化という現在進行形の課題への応答をめざすものである。