10世紀以降の中国は、士大夫層が政治・社会・文化の各方面で重要な役割を果たしたと言われるが、その具体的変遷がどのようなものであったのかは、いまだ十分明らかになっていない。とくに、宋代に形成された士大夫社会の様相が、元代になってモンゴルに統治されてもなお継続し、明代へと接続していった理由は、十分に明らかにされていない。 本研究は、朱子学の展開と浸透を軸としながら、主に士大夫個人が書いた文章である文集史料を利用して解明するものである。とくに「記」という一連の史料群を網羅的・統計的に分析することで、宋から明初に至る中国社会の変遷を、社会文化・思想文化の面から描くことを目的とする。
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