本研究では、朝鮮半島の内水面環境とヒトの関係史を構想する環境史研究の一環として、朝鮮時代~近代(15世紀~20世紀前半)の内水面漁撈について探究する。在地支配層がのこした日記史料をもとに異なる時期の4つの「場」を選定し、それらの「場」ごとに水域、時期、主体、生息魚種、目的といった要件によって規定される採捕から消費までの諸過程を実証的に把握しつつ、これをめぐって生起する諸アクター・環境諸要素間の相互・循環的な連関関係を読み解く。その際には特に、人類学におけるマルチスピーシーズ民族誌のアプローチを参考にして、ヒトとヒト以外の他種/多種が相互に「絡まり合う」なかで状況が創発される様相を描き出す。
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