| 研究課題/領域番号 |
24K04298
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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| 研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 豊志 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (10243619)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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| キーワード | ポピュリズム / 人民主権 / シェイズの反乱 / ウィスキー反乱 / 陰謀論 / 人民主権論 / アメリカ民主主義 / 反乱 |
| 研究開始時の研究の概要 |
現代においてポピュリズムは「愚民」による体制攪乱運動とみなされることが多い。本研究はそうしたポピュリズム像の修正を目的に、アンテベラム期アメリカ合衆国において頻発した政治的騒擾を人民主権論に基づくポピュリズム運動とみなし、これに対峙した為政者側のポピュリズム対抗戦略を分析するものである。 本研究が焦点をあてるのは、反ポピュリズム勢力であるエリートが講じた「デモクラシーの「飼いならし」策」(運動の「非合法化」や人民の「愚民化」)である。これによってポピュリズムが「異端化」され、エリートの唱える統治の思想やシステムがアメリカ民主政において「正統」とみなされるにいたった過程を明らかにする。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、アメリカ合衆国におけるポピュリズムの政治思想的根拠を人民主権原理に求めることにより、現代においてしばしば「大衆迎合的政治手法」として否定的に語られるポピュリズムの政治的意義を再検討するものである。具体的には、建国期から19世紀中葉にかけて各地で発生した反政府的運動をアメリカ・ポピュリズムの原型と捉え、これらに対抗した為政者側の対応策を分析することによって、初期ポピュリズムの理念的構造および政治的実践の実相を明らかにする。こうした作業をつうじてポピュリズムがいかにして「異端化」され、これに対する「エリート」層の統治理念がアメリカ民主政における「正統」として制度化されたかを解明することが本研究の最終的な課題である。 研究初年度の令和6年度においては、建国期に発生したマサチューセッツ州の「シェイズの反乱」(1786~87年)およびペンシルヴァニア州の「ウィスキー反乱」(1791~94年)を主たる事例として取り上げた。これらの運動について、一次史料および先行研究の精査を行った結果、両反乱に共通して、アメリカ独立宣言の理念にもとづく直接民主制的な人民主権志向が認められることを確認した。 さらに、これらの反乱に対して州政府および連邦政府が講じた鎮圧策について検討を行い、反ポピュリズム的対応の根底には、アメリカ合衆国憲法に体現される間接民主制志向の人民主権観が存在していたことが明らかとなった。加えて、実際の制圧過程においては、戒厳令の発布や武力行使といった公的手段のみならず、反乱側の暴力性を強調する宣伝や陰謀論的言説を用いた情報操作といった非制度的な手段も併用されていた実態が確認された。 今後は19世紀に入ってからの反政府的運動への対応事例との比較をつうじ、アメリカ的ポピュリズムの思想的系譜とその対抗理論の発展過程を体系的に整理する予定である。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実施計画は上記の「研究実績の概要」にあるようにおおむね達成されたこと。ただし、予定していた海外資料調査を中止し、関連する基礎的資料の一部を入手することができなかったため、上記のような自己点検評価になった。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和6年度に得られた知見を踏まえ、研究2年目にあたる令和7年度は、主にアンドリュー・ジャクソン政権期(1829~1837年)に展開した「反メーソン運動」を分析対象とする。本運動は、エリート層の秘密結社と見なされた「フリーメーソン」を標的に、同団体に関与するとされたジャクソンおよび民主党政治家を特権階級として激しく批判した。ジャクソニアン・デモクラシー期における代表的ポピュリズム運動としての本運動の全体像を再構成するとともに、これに対抗したジャクソン政権の対応策とその政治的・思想的背景を検討する。 研究推進の具体的方策は以下の通りである。 1.「反メーソン運動」およびそれに対する対抗策に関する基礎文献を収集・整理し、批判的再検討を行う。入手困難な一次資料については、米国連邦議会図書館等の現地図書館・公文書館において収集を図る。 2.収集資料をもとに、以下の三点について順次分析を進める。(1)「反メーソン運動」における人民主権原理の解明(2)ジャクソン政権による反「反メーソン運動」策の具体的施策と、その理論的基盤の分析(3)アンテベラム期中期における反ポピュリズム言説の構造と、その実践的手法の解明
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