研究課題
基盤研究(C)
中世西欧の身分制議会に関しては、イングランド王国議会を典型とした、専制的な王権に対する臣民側の課税抑制機関というホイッグ史観的な古典的議会史理解がいまだに通説となっている。しかし、同時代のフランス王国とそれを構成する諸侯領の議会では、より協調的な君臣関係の下で、「全会一致」という議決にいたる双方向的な交渉が行われていた。フランス東北部のバール=ロレーヌ公領でも、その議会運営は協調的であり、しかも同公領については、15世紀後半から16世紀前半の公領議会に関する未検討の古文書史料が大量に残存している。本研究では、このバール=ロレーヌ公領三部会における君臣間の課税交渉のプロセスを実証的に解明する。