本研究は、日本博物館史研究の隘路を打開するため、近接領域である社会教育史研究・社会事業史研究との接続により、その越境的な発展に資する基礎的枠組みの構築を目指すものである。社会教育史・社会事業史における博物館の位置の解明に取り組むことで、博物館形成の社会的文脈に注目した新たな研究視座の提供を試みる。明治末~昭和初期にかけての社会教育・社会事業領域の博物館関連資料の網羅的な渉猟、および、同時期に設立された博物館の事例調査を通じて、博物館の普及要因の構造を教育と福祉という社会的文脈から考察することにより、社会教育史・社会事業史との接続という形で、日本博物館史研究の視座を押し広げることを目指す。
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