本研究は、西南中国から東南アジア大陸部にかけて広がる山地に居住するラフ族を対象として、新型コロナウイルスの蔓延とそれに対する拡大防止措置が彼らの生活にどのような影響を与えたのか、ラフのローカルな病因論と身体観、そして居住戦略から明らかにするものである。新型コロナウイルスの発祥地であり、厳しい隔離対策を敷いた中国と、ゆるやかな感染対策にとどまったタイのそれぞれの状況を比較することを通して、新型コロナウイルスへの対応の違いがそれぞれどのように帰結し、ラフの病因論や暮らしのあり方にどのような違いをもたらしたかを明らかにする。
|