研究課題
基盤研究(C)
本研究は、現代ルーマニアの若年層や労働者、出稼ぎ先で支持を集めるマネレというポピュラー音楽のグローバルな展開を文化人類学的に考究することを目的としている。マネレは共産主義終焉後のバルカン諸国で興隆するポップフォークであり、異なる地域の音楽伝統を融合し、流動的な社会に生きる人々につながりを創出している。本研究は、マネレの担い手の大半がルーマニアのマイノリティであるロマである点、またマネレにみられるジェンダー表象と従事者のジェンダーに着目し、マネレがエスニシティやジェンダーの差異を超え、いかに聴き手に共感を形成しているのか、ディアスポラの芸術表現を通した連帯の可能性と限界について考察する。