ドイツ近代(19世紀から20世紀初頭)の(ローマ)市民法学の展開に定位して、金銭消費 貸借という制度に素材を取り、その学説史を丹念に追い、(債権)法の基礎の考察を行う。 とくに社会・法・制度の複雑な関係に焦点を当てる。社会・法・制度の複雑な関係、というとき、ここで扱うドイツの法学者たちが、法の役割を考察するにあたって、表面上は、古典期ローマにおける制度の働きを主に考察しているかのような論証を行っているが、その場合、かれらは同時に、1900年前後のドイツにおける法の省察をも行っている。この点で、われわれの分析が、かれら彼女らの叙述に引きずられて混線しないように、特に留意する必要がある。
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