| 研究課題/領域番号 |
24K04520
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 雅人 九州大学, 法学研究院, 准教授 (30610290)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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| キーワード | 専門家助言 / 無責任の構造 / ドイツ国法学者大会 / 私的アクター / 憲法と政治の関係 / 民主的政治過程 / 専門家 / 組織・手続的規律 / 学問の自由 / 司法審査 |
| 研究開始時の研究の概要 |
執政の政策決定に専門家が関与する場合、その民主的政治過程が専門家の関与によって歪まないように、組織・手続に関して規律する仕組みを憲法理論から考察するとともに、この仕組みを事後的に厳格にチェックする司法審査の理論を打ち立てることが目的である。ドイツでの経験や理論的蓄積を参照しつつ、日本における制度設計の前提条件を整備する。専門知を執政に取り込む憲法論上の論拠を提示し、執政に対して助言する手続をいかに憲法適合的に設計できるか検討する。この設計を適切に保持するために、専門知を相対化して評価する仕組みと、専門家の関与により民主的政治過程が歪む場合に司法が厳格審査を行う仕組みを、憲法理論として考案する。
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| 研究実績の概要 |
2024年度前半は、Laura Muenkler, Expertokratie(2020)を読みつつ、他の重要文献を渉猟した。8月からドイツ・フライブルクに留学し(~2025年9月まで)、10月にはドイツ国法学者大会に参加した。この学会のテーマが「政治と憲法の関係」であり、本研究課題と密接なかかわりのある専門家助言に関する報告や、上記Muenkler教授の報告もあった。この学会でMuenkler教授と話をし、今後、研究調査に伺う約束をした。なお、このドイツ国法学者大会の模様については「「ドイツのための選択肢」とドイツ国法学者大会の選択」法律時報97巻3号として公表した。 本研究課題の前提となる、日本の現実認識に関して、2025年1月30日に"Distanzierung zwischen Regierung und Sachverstaendigen in Japan"の講演をミュンヘン大学で行った。コロナ禍における政府に対する専門家の助言を念頭に、しかしそれだけでなく、歴史的に日本が専門家などの権威を借りて政治の「無責任の構造」に陥っているという分析を行った。専門家助言による政府の責任確保の法的規律という課題が明らかになった。 2025年3月11日にはハンブルクのマックスプランク研究所で、日本法シンポジウムが行われ、"Regierungsberatung durch Sachverstaendige: Verfassungsrechtliche Herausforderung "講演を行った。ミュンヘン大学では、聴衆の多くが政治学研究者だったこともあり、政治学的認識に焦点を当てたのに対し、3月の講演では、法的規律として、なぜ外部専門家という私的アクターの政府関与を憲法の規律対象としなければならないかという議論を行った。今後、憲法上の規律の仕組みを整えることが課題である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、日本で研究を行う予定だったが、本申請を行った後、留学が決まり、ドイツで研究時間を十分に使うことができている。そして、ドイツ国法学者大会に参加したことや、ドイツの研究者にアポイントメントをとって会いに行くなど、ドイツの様々な研究者と交流を重ねている。また、2度、招待を受けて講演を行う機会に恵まれ、そこでの質疑応答やその後の交流のなかでも多々、知的情報だけでなく、考え方についても得るところが多い。 こうした状況から、ドイツの状況を、論文だけでなく、口頭でも知ることができる状況にある。また、想定外だったことに、このさまざまなコミュニケーションのなかで、日本の状況を説明する機会が増え、そのたびに日本を相対化することができ、日本の状況についてドイツにいるからこそ客観的かつ大胆に分析できるようになった。 帰国後に、これらの大胆な分析の実証的な検証が必要になるが、そうした課題も発見しつつ、自らの論を進めることができており、当初の計画以上に研究が進展しているといえる。
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年は9月までドイツに滞在するため、Muenkler教授をはじめとして、ドイツの研究者のもとに伺い、ドイツの現常認識を確認するとともに、本研究の方向性について議論を行い、打ち立てるべき理論の可能性について検討を行う。 なお、「無責任の構造」を規律するための手法について、いかなる可能性があるのか、まだ十分に見えていないところがあり、その模索を、これら、ドイツの研究者や実務家(裁判官など)との対話を通じて引き続き行っていく。 また、日本の状況分析を、ドイツ滞在中に大胆に行っているため、それらの分析結果を実証的に検証する必要性がある。これは帰国後に行う課題である。とくに、私的諮問機関の位置づけについて、中曽根内閣時代の様子など、歴史的な史料を探る必要もあることが見えており、9月に帰国後はその研究を行う。
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