研究課題
基盤研究(C)
従来、武力紛争被害者に対する賠償は、違法行為により発生した損害を補填する賠償として、不法行為法的なイメージで捉えられてきた。しかし、近年は国家再建・平和構築という観点から、賠償制度が移行期正義の実現において果たす役割が強調されるようになってきている。本研究は、個別的賠償モデルと集団的賠償モデル、責任ベースの賠償モデルと連帯ベースの賠償モデルという独自の分析モデルを導入し、種々の賠償メカニズムにおける現実の運用を包括的に比較検討し、それらが共通して移行期正義を実現する目的によって、伝統的な不法行為法的イメージの賠償から、行政目的を実現するための賠償へと移行しつつあることを実証する。