本研究は、日本における高齢者の雇用を法的に保護する最近の法改正が、企業の価値に影響を与えたメカニズム(経路)を実証的に解明する。特に、法改正が企業のリスクに対する影響を通じて資本コストに与えた影響を実証的に解明する。勤労世代の高齢化は先進国共通の現象ではあるが、高齢者の雇用を保護することが企業の金融面に与える影響に関しては、既存研究の蓄積は十分とは言えない。本研究は、政府統計及び企業財務・金融データを用いて、特に日本で2012年に行われた高齢者雇用安定法の改正による雇用保護の強化が、企業の資本コストに与えた影響を分析する。推定結果から望ましい高齢者雇用に対する政策的含意も導く。
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