本研究では、ポスト・ノーマル・サイエンスの会計が、どのような役割を果たし、同時にどのような課題を有するのかを明らかにする。通常の会計(ノーマル・サイエンスの会計)においては、対象が確実で価値自由な性質を持つため、合理的な見積・配分によって合理的な利益計算が行われ、その会計は「一般に認められた会計原則」となって一定の普遍性を有する。これに対してポスト・ノーマル・サイエンスの会計においては、その対象が「体系の不確実性」と「決定に関する利害関係」を本質的要素とする。合理的な見積・配分が不可能であり、異なる価値体系の下では異なる計算が正当化される場合の会計の役割と課題を明らかにする。
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