本研究は、在日コリアンの集住地域である神奈川県川崎市桜本地区の在日大韓基督教教会において1970年代に展開したアイデンティティの政治が、新しい世代の在日コリアンやニューカマーの外国人住民たちによっていかに批判的に継承されているのかを明らかにすることにある。アメリカの黒人教会や思想の多大なる影響を受けて川崎教会を中心に展開した反差別の実践が、その教会の屋上でサイファーに興じていた若い世代がラップ音楽という文化表現を用いて反差別の実践を継承していることを明らかにしていく。具体的には、参与観察と聞き取り調査を通じて人種差別に抗する文化的実践の諸相を明らかにしていく。
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