本研究は、従来の養護教諭の専門性議論において何が問われ何が捨象されてきたのかを明らかにすることで、現在に至るまでの専門性確立の困難さの淵源に迫り、養護学の構築に向 けた新しい在り方の提起を目的としている。特に本研究においては、大学における正規の養護教諭養成ルートが確立し得ていなかった時期に養成機関の一つとして重要な役割を果たした国立養護教諭養成所に着目し、養成所の設置に至る過程及び養成内容について検討することで、養護教諭の専門性について当時どのような議論が行われたのか、また幼生段階においてどのように専門性を形成しようとしていたのかについて歴史的側面から明らかにするものである。
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