中国文化大革命期の音楽が日本の華僑社会でどのように再生産され教育に導入されていったかを明らかにする。中国の文革と日本の高度経済成長期の価値観の交差点で、日本生まれの華僑二世、三世は音楽教育を通じてどのようなアイデンティティの葛藤を抱え、現在ではその当時をどう振り返っているのかを探求する。調査対象は横浜山手中華学校と神戸中華同文学校とし、当時を生きた華僑の声、体験、記憶に焦点を当てるオーラル・ヒストリーと自伝的アプローチを取る。音楽教育をめぐる個人の語りを通して、華僑社会の多様性や、日本社会との交流・対立・同化などの複雑な歴史を紐解いていく。
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