明治前期の中学校形成史は、近年府県別に研究が進展したが、「辺境」としての北海道・沖縄県については等閑視されてきた。本研究は、「特別な(差別的な)扱いをされていた」という抽象的な理解を超え、具体的な政策展開や議論の様相を明らかにし、近代日本の中学校設立史に、北海道・沖縄県を正当に位置付ける。 また、「府県」というあらたな単位をもとに制定された「中学区」が、府県統廃合や郡区町村編制法といった地方行政制度の展開をかたわらにどのように再編されたかを全国的に鳥瞰し、中学校制度という学制と地方制度との関係を問い直す。
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