| 研究課題/領域番号 |
24K06021
|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
| 研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小貫 篤 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60965375)
|
| 研究分担者 |
小野木 尚 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90752527)
加納 隆徳 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (90767245)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
| キーワード | 法意識 / 法教育 / 民事法 / 刑事法 / カリキュラム / 中・高一貫 / 教科横断 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「中高生の法意識調査」、「中・高一貫」、「公民科と地理歴史科」、「民事法と刑事法」に着目して法教育カリキュラムを構築する。 中・高生の法意識調査に着目する理由は、これまで中・高生の法意識に着目した研究はなかったためである。中学校から系統的に、かつ民事法と刑事法を取り扱い、更に公民科のみならず地理歴史科でも授業を開発しカリキュラムを構築することで、生徒の意識の変容がみられるはずである。ここに本研究の学術的独自性がある。 また、中・高一貫の法教育カリキュラム構築のみならず、中・高等学校交渉コンペティションを実施することも本研究の特徴の一つである。
|
| 研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果は、3点である。 第1に、研究組織を確立するとともに、3年間に及ぶ研究の計画を立てた。本研究は、中学生・高校生の法意識調査と、法意識調査結果に基づく授業開発・分析という2つの柱から構成される。そのうち、「法意識調査」については、教育学研究者、法学研究者の研究分担者に加えて、統計処理の専門家を研究協力者として迎え、研究組織を確立した。「授業開発・分析」については、中学校と高等学校の地理・歴史・公民の実践者10人程度を研究協力者として迎えた。その上で、中学校と高等学校の地理・歴史・公民分野それぞれにおいて、民事法と刑事法を組み合わせて実践することを共有し、研究をスタートさせた。 第2に、「法意識調査」については、質問紙調査を作成し予備調査を実施した。質問紙調査は、先行研究である日本法社会学会の関係者らが実施している大人を対象とした法意識調査や、公民教育研究の一環として実施された法意見調査などを細かく分析した上で、現在の中学生・高校生に合わせた質問項目を作成し、実施した。現在、結果を分析しており、調査項目等を修正した上で本調査を行う。次年度は、全国の中学校と高等学校約50校に本調査を実施し、分析する。 第3に、「授業開発・分析」については、予備調査の結果をもとに、授業開発に着手した。特に、歴史的分野は中学校と高等学校で授業開発を進めており、進展している。公民的分野は中学校と一部の高等学校で授業開発を進めている。地理的分野は中学校で授業開発を進めている。いずれも、本調査の結果を受けて、授業内容を修正することを想定している。その上で実践・分析を行う。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
研究組織が確立され、「法意識調査」と「授業実践・分析」ともに計画より進展している点と遅れている点がある。 「法意識調査」については、計画では本調査の実施を行う予定であったが、質問紙調査の作成に時間がかかったため、予備調査まで実施している段階である。ただ、時間がかかったのは、統計処理の専門家に協力してもらい、質問項目と分析を厳密に検討してきたことや、先行研究を丁寧に分析していることが原因であり、今後の研究の土台が固まった点は成果といえる。質問項目については、大きく、法知識、法意識、法行動の3つの枠組みを設定し、その枠組みに沿って、各10問程度の質問項目を設定した。予備調査は、サンプル数、地域などを考慮し、2つの大学で実施している。 予備調査の結果、民事法については、以下の仮説が導出された。①自分の主張をしたくない、自分の利益が減ってでも紛争を回避する傾向がある。②紛争を怖いと感じ、忌避する意識が強い。③まず自分たちで紛争何とかしようとする意識が低い傾向がある。④順法意識が高い一方で、法やルールを変える意識が低い可能性がある。刑事法については、以下の仮説が導出された。1)無罪推定の原則、適正手続、責任主義、黙秘権などの刑事法の基本的な考え方は、中・高の多くの教科書に掲載され、大多数の生徒が学んでいる。2)刑事法によって被疑者被告人の権利を守る、という意識が低い。3)権利保障よりも秩序維持を重視する生徒が多い。 「授業実践・分析」については、地理的分野、歴的分野、公民的分野それぞれで、打ち合わせを行った。そこで、「民事法・刑事法」、「中学校・高等学校」の担当を分担し、授業実践に向けての試案を作成している。これは、計画よりも進展している。授業実践・分析は本調査の結果・分析を受けて開始されるため、今年度と来年度で実施することになる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策を、3点より記す。 第1に、「法意識調査」については、本調査を実施、分析することである。予備調査の結果を踏まえて、本調査を全国各地50校程度で実施する。実施した後、「法知識・法意識・法行動」という分析枠組みを念頭に置いて、結果を統計処理して、結果を解釈する。これによって、日本の中学生、高校生の法知識・法意識・法行動の関係性、相関関係が明らかになる。これを明らかにすることで、法知識と法行動が一致している項目や不一致の項目が明らかになったり、法意識と法行動の相関関係が明らかになったりする。また、先行研究で示されている大人との比較が可能となり、中学生・高校生独自の法意識が明らかになる。 第2に、「授業実践・分析」については、授業を開発・実践・分析することである。全国的な本調査の結果を受けて、日本の中学生、高校生の民事法、刑事法それぞれの法意識についての仮説を立て、それをより良くするための授業を開発する。予備調査では、民事法で4つの仮説、刑事法で3つの仮説が導出されたが、本調査でも同様の結果になる可能性が高い。それを見越して、地理的分野、歴史的分野、公民的分野の授業の開発を進めていく。このように、地理・歴史・公民のグループごとに仮説を見越して授業開発を進めていくことで、全体だけでなく、個別的にも意義のある研究が成立すると考える。 第3に、これら一連の研究を学会や論文を通じて、社会に向けて広く発信していくことを検討している。具体的には、日本社会科教育学会、法と教育学会、日本公民教育学会等で、地理・歴史・公民グループ別に発表を行う。また、各グループで実践開発についての論文執筆を行い、学会や学校現場に研究成果を還元する。
|