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建築家松井宏方の設計手法の源泉と地方都市鹿児島に与えた影響

研究課題

研究課題/領域番号 24K07861
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分23040:建築史および意匠関連
研究機関鹿児島大学

研究代表者

増留 麻紀子  鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (90723007)

研究分担者 柴田 晃宏  鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (10447550)
朴 光賢  鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (00784381)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワード松井宏方 / Vittorio Gregotti / CASVA / 鹿児島 / ミラノ / 建築アーカイブ / ヴィットリオ・グレゴッティ / イタリア / アーカイブ
研究開始時の研究の概要

松井宏方(まつい・ひろみち:1931-2012)は、東京・ミラノ・鹿児島で活動した建築家であり、後年は鹿児島大学でプロフェッサーアーキテクトとして教鞭を執った人物である。本研究では、中央、海外、地方と活動拠点を遷移させ、多様性に富んだ経歴を持つ建築家松井の建築作品の特徴及び源泉を把握し、松井の設計手法や建築思想を明らかにする。そして、在外日本人建築家が担った役割や地方の建築文化を形成した建築家の役割、また、松井の設計手法や建築思想が鹿児島に与えた建築的影響についての考察を行うものである。

研究実績の概要

2024年度は研究実施計画に基づき、本研究の2つの目標のうち1)松井の建築作品の特徴(作風)の源泉の把握とその設計手法及び建築思想の考察について研究を進めた。
まず、松井の建築作品の特徴(作風)の源泉の把握については、作風の源泉と考えられるミラノ期における資料の収集と整理を実施した。2024年8月にイタリア・ミラノ市アーカイブ資料館に赴き、松井が在籍したグレゴッティ事務所および松井個人が関与した作品に関する図面・資料の閲覧と収集を行い、ミラノ期の活動実態と設計手法の分析に寄与すると思われる重要な資料を確保した。また遺族の意向により、鹿児島大学へ移管されていた松井資料がイタリア・ミラノ市アーカイブ資料館へ寄贈されることが決定し、寄贈および搬送の準備と手続きを行った。更に2024年10月にミラノ市で松井資料の寄贈レセプションを開催し、会場にて関係者にヒアリング調査を実施した。これらの成果により、2025年度以降に予定するミラノ期の調査に向けた人的ネットワークの構築を大きく進展させることが出来た。
次に、設計手法及び建築思想の考察については、鹿児島期の実施3作品から、資料数やミラノ期作品との比較分析を考慮し、規模や用途の類似性から「遣唐使館」と「トリアーデ妙円寺」の2作品に絞って詳細な分析を行った。その結果、この2作品は松井資料に建築完成までのプロセスに関わる言説やスケッチが多数含まれていることが確認出来た。また、鹿児島期の作品に関与した建築関係者からヒアリング調査を実施し、松井が設計時に拘った内容や建設施工状況に関する貴重な証言を得た。これら言説・スケッチ・図面、調査結果を用いて、松井が着目した設計要素やその用語を抽出し、それらの関係性から敷地特性や時勢の読み取り、開口部形状、色彩構成、建物や住戸の配置構成などに松井独自の設計手法とその思考プロセスがみられることが確認出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2024年度は、本研究の目的の一つである「松井宏方の建築作品における作風の源泉と設計手法・建築思想の考察」に関する基礎的調査および分析を進めた。作風の源泉とされるミラノ期における調査については、グレゴッティ事務所在籍時の設計資料や関連文書を収集するため、ミラノ市アーカイブ資料館(CASVA)での調査を実施し、ミラノでは松井資料の寄贈に関するレセプションも開催され、人的ネットワークの構築や、オーラルヒストリーの基盤整備にもつながった。しかし、円安による渡航費高騰の影響により日本からの調査人数を削減せざるを得ず、またフィレンツェ大学の研究協力者のが急病により入院したため、当初予定した調査内容を実施するには至らず、調査の一部を次年年度に繰り越す判断を行った。
鹿児島期における作品分析については、「遣唐使館」「トリアーデ妙円寺」の2作品に着目し、松井資料に含まれるスケッチ、図面、言説資料をもとに、空間構成や色彩計画、開口部操作、住戸の配置計画などの設計的特徴を抽出した。さらに、当時の関係者へのヒアリング調査を通じ、設計プロセスや施工状況、松井の意図に関する一次情報を得ることができた。上記ミラノでの調査内容の変更や松井資料の寄贈手続き作業への影響から、スケジュールがやや遅れ、当初予定していた鹿児島期における作品分析の論文発表を2024年度内に実施するには至らなかったが、これらの成果については論文作成を進め、得られた知見を発展させた内容として学術論文としての投稿を予定している。今後はミラノ期作品との比較分析を通じて、設計思想の変遷と連続性の検証を進める。

今後の研究の推進方策

2025年度は、初年度の成果であるミラノ市アーカイブ資料館(CASVA)で収集した資料をもとに、ミラノ期におけるグレゴッティ事務所での松井が関与した作品を対象に、設計図面や関係資料を整理・分析し、松井に涵養されたデザイン言語の形成過程についての考察を行う。また、2024年度に実施出来なかったミラノ滞在中の同僚建築家や関係者に対するオーラルヒストリー調査を実施し、松井が関与した作品に松井が込めた意図や思考を多角的に把握する予定である。更に、2024年度に行った鹿児島期作品の分析結果と2025年度に実施するミラノ期作品の分析結果をの比較を行い、松井宏方のミラノ期から鹿児島期へと至る設計手法・建築思想の特徴と変遷を明らかにしていく予定である。
一方で2024年度と同様に、現地協力者の体調不良や渡航費の高騰、資料館の移転などの不確定要素は依然として存在する。これらの課題に対応するため、調査時期・体制の柔軟な見直しや、国内での代替資料調査、オンラインによるヒアリング実施も視野に入れて研究を遂行する。これらの取り組みを通じて、松井の設計思想が鹿児島地域に与えた影響の構造的理解と、時期を超えた設計手法の連続性の把握を目指す。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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