研究課題
基盤研究(C)
近世から近代にかけ、「釘」にまつわり建築がどのように変化して現在に至ったものかを明示することが目的となる。近世において釘を用いないで建築を組み立てる「木組」が異常なまでに発展・展開したのは、裏を返せば経済的に高価な金属類の使用を極端なまでに忌避した結果と推定できる。一方、近代になり格安な鉄材が国内へ大量に流入し、国内における製鉄業も確立されると、安価な鉄材が市場に溢れ、その結果、釘の使用も拡大した。加えて、近代以後における地震災害、これに対応した建築技術者の考えが、金具および釘類の使用を後押しし、その結果、木工事に置いて、近世までにおける「釘一本用いない」とする価値観が解体したと考える。