近世期、幕府や諸藩の領内で徴収された年貢米の多くは、河川水運を用いて河口港に集められ、廻米として海運を用いて米市場へ運ばれた。このため、河口港に米置き場として御蔵所が設けられることがあった。この廻米用御蔵所は、過去に検討した年貢米徴収用御蔵所とは異なる空間構成を有している。既に研究者は、東北地方の河口港における廻米用御蔵所の空間構成について研究を進めており、その特異性が明らかになりつつある。本研究は、東北地方及び北陸地方の河口港に営まれた廻米用御蔵所に焦点を当て、その空間構成原理及び地方性を明らかにする。
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