研究課題
基盤研究(C)
3個以上の不対電子をもつ光励起状態をとる有機ラジカル系は、基底状態への分極生成や量子情報科学への応用など様々な面から最近注目されている。本研究では、申請者がこれまで先駆的に研究成果を挙げてきた、π共役により比較的大きな交換相互作用と微細構造相互作用を有するπラジカル系の光励起多スピン状態に着目し、微細構造相互作用による励起二重項状態と励起四重項状態の間の弱い量子混合状態の形成が、励起状態ダイナミクスに及ぼす効果を解明する。さらに、それにより得られる知見を利用して、励起状態での交換相互作用の実験的決定や基底状態への分極生成を明らかにし、光励起多スピン系の基礎物理化学を解明する。