研究課題
基盤研究(C)
分子性導体α-(BEDT-TTF)2I3や[Pd(dddt)2]は高圧下でディラック分散という特殊な電子状態をしめす。分子性導体のディラック電子は,3次元結晶であることやスピン軌道相互作用が小さいことから,グラフェンや無機物質で実現しているディラック電子とは別の性質を示す。しかし,常圧下での実現や化学的制御によるゼロギャップからのバンドギャップの連続制御は実現していない。α-(BEDT-TTF)2I3は結晶中で弱い四量体をなしており,この構造に由来するバンドがディラック分散の起源である。これに注目し,弱い四量体を基とする新物性や新機能の探索,特に,ディラック電子系の実現を目指す。