| 研究課題/領域番号 |
24K08522
|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
|
| 研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
松葉 豪 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (10378854)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
| キーワード | 暴露 / ポリエチレン / 遅い結晶化 / 高分子モルフォロジー / 高分子結晶化 / 高分子劣化 |
| 研究開始時の研究の概要 |
結晶性高分子材料の劣化挙動に着目する。材料が不均一に収縮し、クラックが成長し、表面・内部が崩壊するという「遅い結晶化プロセス」に着目して、精密構造解析による研究を行う。それにより、高分子劣化プロセスを明らかにし、材料の物性の長時間にわたる崩壊・劣化について、「物性予測」を行えるようにする。このような遅い結晶化プロセスについて、高分子の精密解析技術、分析技術を用いて、高分子の結晶化度や機械的、熱的な評価を利用して、結晶性高分子の劣化プロセスにおける、「崩壊度・劣化度」を高分子の結晶化という物性的な評価手法を用いて定量的に明らかにする。
|
| 研究実績の概要 |
ポリプロピレンの暴露試料について、表面構造及び内部構造を評価した。表面構造においては、亀裂が暴露期間が半年まではほとんど成長することはないが、1年後から流動に垂直方向に亀裂が走り始め、2年後になると垂直方向に成長した亀裂が流動に平行方向に成長することが見られた。 また、内部構造をマイクロビームX線回折を用いて評価した。未暴露状態においては、表面の結晶化度は非常に低い。これは、成形時に金型に直接触れる表面の冷却速度が大きく、その分結晶成長が阻害されたものと考えられる。内部に行くに従い徐々に結晶化度が増大している。まず、結晶化度の暴露期間依存性に付いて評価を行うと、暴露期間半年から1年の間で表面の結晶化度が急激に増大していることがわかった。また、ある程度内部においては、結晶化度の増大はやや鈍る傾向があることがわかった。これは、急速な冷却により結晶成長が阻害されたものが暴露により、徐々に結晶成長が進んだものと考えられる。また、さらに暴露期間が長くなると全体的に結晶化度が増大していくことがわかった。 さらに、ポリプロピレンで観測されるβ晶の深さ方向の分布に着目した。暴露前は表面にβ結晶は存在しておらず、約300ミクロン内側に存在しているが、暴露が進むにつれて、表面方向に向かって成長が進むことがわかった。また、β結晶の分布は非常に分散的であり、遅い結晶化が均一的に進むのではなく、非常に局所的に進行していることがわかった。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、表面の亀裂について評価を進めるとともに、内部構造の評価のためにSPring-8 BL40XU 装置やKEK PF BL6Aなどの放射光の装置を用いて結晶の深さ方向の分布について評価を行った。当初予定通り、通常の放射光X線ビーム及びマイクロX線ビームを利用して、結晶化度の深さ方向の分布精密に評価し、その結果を明らかにすることができた。特に、冷却速度が早いため結晶化度が低い表面部分について、遅い結晶化により結晶成長が進行することを示すことができた。また、新たな発見としてポリプロピレンの特殊な結晶構造であるβ晶の分布が変化していることを定量的に示すことができた。特に、表面方向に成長している様子を捉えることができた。内部構造の成長を定量的に評価できた。 以上のことから、当初予定通りに実験は進められており、概ね順調に研究が進行しているといえる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2025年度はすでに申請済みのビームタイムを利用して、配向構造特にラメラ構造の暴露時間による変化を評価する予定である。暴露時間が長くなると、酸化劣化などにより高分子の分子量が低下する。そのため結晶化度が増大すると考えられているが、一方で、DSCで測定した融点は低下しており、結晶化度の低下もしくは結晶モルフォロジーの変化が起こっている。しかしながら、構造論の観点から、融点の低下を議論した研究例はない。本研究では、ラメラ構造の変化に着目し、研究を進めていく予定である。 また、同時に更に精密に解析を行うことで、結晶の配向度がどのように変化しているのかを評価することにも取り組む予定である。配向度が遅い結晶化プロセスにおいて影響を受けるのかどうかは正直わかっておらず、遅い結晶化プロセス解明に非常に大きな役割を果たしていると考えている。配向度の変化により結晶子配向やサイズを評価することができ、遅い結晶化において結晶核生成、成長がどうなっているのかを示したいと考えている。
|